トラウマティック銀幕 ミツバチのささやき
‘マルモのおきて’が今夜で最終回。もう番宣しなくてもいいね。
これで芦田愛菜ちゃんもしばらくゆっくりできるだろう。
あの演技力とかわいさは宝物なんだから、もっと大切に扱ってほしい。
1940年代のカスティーリアの高原の村に映画がやって来る。
31年製作、ボリス・カーロフ主演の「フランケンシュタイン」だ。
大人も子供も公民館に集まっての上映会の中にイザベルとアナの姉妹もいる。
妹アナの疑問は「どうして怪物は死んじゃうのか」
姉イザベルは「死んだのではなく、スピリットとなって夜に出歩く」と答える。
二人でスピリットを探しに、村はずれの廃屋に行ってみる。
姉妹の父親はミツバチを飼育し、母親はだれかに手紙を書く。
夫婦の間は何かうまくいってない空気が漂う。
姉イザベルは成長過程にあり、妹の無垢な幼さをからかったり、
友達と焚き火を飛び越える遊びに興じる。アナは仲間に入れない。
アナは一人遊びの場所である廃屋に行ってみると、
足を負傷した脱走兵が潜んでいる。
家から服や食べ物を持って行って、甲斐甲斐しく世話をするアナ。
ある日、廃屋から脱走兵の姿は消えていて、壁には血痕が…。
夜の湖畔でフランケン・シュタインに肩をつかまれ、
アナが恐怖に唇を震わせるシーンは演技なのか、どうなのか。
昔は演技だったらちょっと嫌だなあって思ったけど、もう気にならなくなっていた。
姉のイザベルはちょっと小悪魔的。猫の首を手で絞めつけて、爪で引っかかれ、
指から出た血で唇を紅く塗る。アナにはあんなふうになって欲しくないなあ。
ヴィクトル・エリセの演出はアナの一挙手一投足に目を釘付けにさせ、
極端に少ないセリフで観る者のイマジネーションに委ねている。
音楽もほとんど使わず、静寂の中にどんどん引き込んで行く。
今回トラウマになったのは、授業で使われていた人体人形ドン・ホセ。
アナが目をつけてくれないと、とても怖かったです。