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トラウマティック銀幕 哀しみのトリスターナ

初めて観たルイス・ブニュエル映画は「アンダルシアの犬」。
中学生だったグラコロは女性の眼球を剃刀で切るシーンが大トラウマに。
次に観たのは「ブルジョアジーの密かな愉しみ」で便器に座って晩餐会。
ああ、シュールって…。

<哀しみのトリスターナ>



カスティーリャ地方のトレド。16歳のトリスターナが老貴族ドン・ロペに引き取られる。
ドン・ロペは女を見れば角が生えると言われる女たらしで、決闘沙汰も数多い。
自由恋愛を説いて進歩的思想を示すが、愛人のトリスターナの自由な外出は許さない。
召使を連れて散歩に出た彼女は、バロセロナから来た画家ホラーシオと恋に落ちる。
歪んだ関係を続けようとするドン・ロペはホラーシオに殴り倒され、老いを思い知る。
恋人達はトレドを離れ新生活を始めるのも束の間、病いのトリスターナはトレドに戻る。
悪性腫瘍で右足切断。ホレーシオも失ったトリスターナはドン・ロペに対し専横的に。
でも、ドン・ロペは人が変わったように従順的になり、トリスターナと結婚するが…。

初めて観た時はトリスターナ視線で、フェルナンド・レイのドン・ロペのスケベ爺、
ホラーシオのフランコ・ネロの男前!(マカロニ・ウェスタンの髭男とは大違い)だった。
今回は誇り高き貧乏貴族で進歩的恋愛論を説きつつ、女性を古い慣習で束縛し、
若さへの嫉妬と老醜、好色で憎々しくて哀れな男を演じるフェルナンド・レイに軍配!
それにカトリーヌ・ドヌーブ26歳。実験的映画に果敢に挑戦する潔さと肝っ玉の強さ。
今回のトラウマはトリスターナの見る悪夢で教会の鐘楼にぶら下がるドン・ロペの生首。
人形なのがバレバレでちょっと笑える。笑う場面じゃないのが痛い。