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トラウマティック銀幕 吸血鬼ノスフェラトゥ

吸血鬼と言えば、なんてったってクリストファー・リーさま。
長身でハンサムで色気があって、ノーブルで冷酷。
同じ原作なのにこっちはハゲ頭に耳が尖り猫背で大きな手。なんでや〜?

吸血鬼ノスフェラトゥ

静かな街ヴィスボルクに若いトマスとエレンのフッター夫妻が住む。
フッターの勤め先は不動産屋で、雇い主は奇妙な男ノック。
そのノックにトランシルヴァニア行きを命じられる。
その地に住むオルロック伯爵がヴィスボルクに家を買うらしい。
契約に向かうトマスは妻を友人の造船業者ハーディング兄妹にあずける。
トランシルヴァニアのある旅籠で、トマスは「吸血鬼の書」を見つける。
黒死病の死者たちの墓場に住むノスフェラトゥの事が書かれている。
村人の忠告に逆らって、夜、一人で伯爵の住む城に向かうトマス。
伯爵じきじきに迎えられ、夜食をとるトマスはナイフで指を切ってしまう。
その血に異様な反応を示す伯爵。話の途中で眠ってしまうトマス。
翌朝、目覚めたトマスは喉に小さな傷が二つついているのに気づく。
家を買う契約書にサインする伯爵は、トマスの妻エレンの肖像画に目を止める。
夜中、伯爵に襲いかかられそうになるトマスはエレンの叫び声で目を覚ます。
翌日、伯爵の眠る棺を見つけるトマス。伯爵は逃げるようにヴィスボルクへと旅立つ。
船荷として異様な棺を運ぶ船中で謎の疫病が発生し、乗組員は全滅。
死の船がヴィスボルクに到着し、船長の死体には喉に小さな穴が二つ残る。
同じ疫病が街中に広がり、住民は不安の中に引きこもる。
エレンはトマスの帰宅を喜ぶのも束の間、向かいに越して来た異様な男に悩まされる。
夫が持ち帰った「吸血鬼の書」にはノスフェラトゥの退治方法が書かれていた。
「清らかな女性の血を与え、日の出を忘れさせる」エレンはある決心をする。

ヨーロッパに脅威を与え続けたペストが背景にあったらしい。
作者側の許可を得られずドラキュラを使えなかったため、新しい怪物像が出来上がる。
マックス・シュレック演じるノスフェラトゥはいきなりエレンを襲ったりせず、
毎晩向かいの窓から待ち続け、願いが叶ってエレンのベッド脇で至福の時を過ごす。
また、自分を犠牲にする事への恐怖と葛藤と恍惚感に震えるエレン。
それに、伯爵の手下のノックのハエを食べようとする狂気の演技。
この三人の演技は見事。マックス・シュレックは怪物を生きている。
昼間と屋内のセピア色、夜の暗闇を表すブルーは1922年当時のもの?後世のもの?
街中を粛々と進む棺の列、海辺に打ち寄せる波、棺を担いでボートに乗る伯爵。
そして、影。ノスフェラトゥの大きな魔手の影がエレンの心臓を掴む。
F・W・ムルナウの創造した映像世界をもっと観なくてはいけない!
今回トラウマになったのは、トランシルヴァニアの夜の風景。
馬や家畜がたわむれる映像に、なぜかハイエナのカットが混じってた。
ヨーロッパにはいないよな? 見間違いかな?