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トラウマティック銀幕 最後の戦い

古いビデオの整理をしていたら、面白い映画が出て来た。
リュック・ベッソンのデビュー映画で、白黒・セリフなしの近未来SFもの。
最近撮る映画はあまり面白くないなあ。どうしちゃったんだろ?

<最後の戦い>

終戦争後の世界。砂漠と化した一帯にただ一つ残ったビルに一人住む男。
砂漠にある車の残骸に男たちが数人暮らし、ボスと手下の上下関係が築かれている。
ボスはトランクにモグラのような男を飼い、水を汲みに地中に潜らせる。
ビルの男はそのボスを襲い、バッテリーを奪ってグライダーを作る。
仕返しにビルにやって来た砂漠の男たちを残し、一人大空に飛び立つ。
街の廃墟に不時着した男は、酒場を見つけそこをねぐらにするのも束の間、
圧倒的な力を持つ大男(ジャン・レノ)と戦い、瀕死の状態で病院跡に辿り着く。
そこは大男が以前から食料を届けては侵入を試みる場所で、謎の男が住む。
元医者のその謎の男は、重傷の男を助け、看病するうちに友情が芽生える。
二人の間で一時の平和が訪れ、孤独だった男たちに笑顔が戻る。
そして、心を許せる相手とみた元医者は男に秘密を明かす。
それは大男が執拗に求める目的のもの。そして、堅牢なドアが破られる。

小柄で華奢だけど、知恵と機転で切り抜けてきた主人公の男と元医者が文明で、
力だけで相手を圧倒しようとする大男のジャン・レノが未開か?
前者の二人が魚を調理するのに対し、ジャンは生のまま食う。
元医者が大事に保護していたものを、一時だけ手に入れたらそれでこの未開人は満足。
あとは邪魔なだけで始末してしまう。自分の力の証明だけがこの男の目的。
この男の刹那的な破壊性は、最終戦争で滅んでしまった文明社会のパラドックスか。
少数の生き残りはほとんど男で、女は庇護されるかボスに所有されるかだ。
無秩序世界で一人ぼっちで生きるのか、わずかに徒党を組んで上下関係を築くか。
救いなのは主人公が元医者の友情によって、人間らしさを取り戻すところ。
音楽のみ、セリフが無いのが全く気にならず、最後まで一気に見せる。
今回トラウマになったのは、雨とともに空から大量に降る魚。
早いとこさばいて、干物にしなさい!腐らせたらもったいないぞ。