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トラウマティック銀幕 怪談

ホラー映画はだめだ。ものすごく苦手だ。だからこの映画もずっと敬遠していた。
でも、怪談は怪談でも小泉八雲のKwaidanと知った。だったらOKじゃないか!
ぞっとする怖さでも不思議なものだったら、実は大好きなのだ。

<怪談>



━黒髪━
貧しい京の武士が立身出世を願って、妻を捨てて仕官先の武将の娘に婿入りする。
任地の東国へ向かうが、高貴な出の新たな妻はわがままで冷酷。
次第に別れた妻のことを恋しく思うようになり、京での思い出がまとわりつく。
高慢な後妻とは別れ、任期を終えると夜道を急いで京へと戻り、
元の住まいに辿り着くと、そこには相変わらず美しく黒髪が豊かな前妻が。
ひどい捨て方をしたと詫びる武士を優しく迎える前妻だったが…。

━茶碗の中━
寺で法事の主人の供をする関内は、不意に喉の渇きを覚え、
茶碗に水を汲んで飲もうとすると、見知らぬ男の顔が茶碗の中の水に映る。
周囲を見渡しても誰もいない。茶碗を変えても無気味に笑う男の顔が映る。
気持ち悪いが、怯んでは武士の名折れとばかりに関内は茶碗の水を飲む。
その夜、城内で夜回りの番につくと、ある小部屋に茶碗がポツンと置いてある。
何か胸騒ぎがしてその茶碗を払い落とすと、見知らぬ男が現れる。
武部平内と名乗り、昼間の関内の行為を非道だと責める。
怒った関内は平内に斬りつけると、壁の中に消える。
狼藉ものと城中にふれて捜すも、同僚から寝ぼけていたかとバカにされる。
翌日の夜、非番で自邸にいる関内に三人の男が訪ねて来る。
平内の家来だと名乗り、主人は怪我が治り次第、必ず恨みを晴らしに参上すると言う。
怒りに駆られた関内がその三人を槍でつくが…。

他に有名な「雪女」と「耳なし芳一」の4話のオムニバス形式。
最後の「茶碗の中」が一番好き。不条理。人の魂を飲んだ男と飲まれた男の果し合い。
でも、勝手に茶碗の水に映っといて、それを飲んだから非道だと責めて斬られ、
今度は家来を送って脅すって、武部平内って男は元々何をしたかったんだ?
わけがわからないのは怪しのものだから。謎のまま、不思議のままがいい。
65年製作、監督は小林正樹、撮影が宮島義勇、音楽は武光徹。
特に戸田重昌の美術がすごい!「雪女」では空に目玉や唇が浮かんでダリっぽい、
「耳なし〜」では平家の邸がキリコっぽい。
セットがものすごくて、独立プロの製作だけどこれで倒産してしまったらしい。
今回のトラウマは結末。怖くないなあって油断していたら、やっぱり怖かった…。