トラウマティック銀幕 ロバと王女
‘ホテル・ニューハンプシャー’ではナスターシャ・キンスキーがクマの毛皮、
そして、今回はカトリーヌ・ドヌーブがロバの毛皮を着ている。
美女は毛皮がお好き。ミンクやキツネでなくったって。
<ロバと王女>
むかし、むかし、ある国に幸せな王と王妃と王女がいました。
王は金貨や銀貨や宝石を生むロバを大切に飼っておりました。
でも、幸せは長く続かず、王妃は病気になり、遺言を残して亡くなりました。
「わたしより美しい容姿の女となら、あなたの再婚を許します」
悲嘆に暮れる王に、重臣たちは再婚を、世継ぎを作るよう迫ります。
王も説得に負け、王妃の遺言通りの花嫁候補探しを命じますがうまくいきません。
一人の重臣が言います。「王女は王妃以上に美しく気品があります」
王は実の娘の王女に求婚します。困った王女は名付け親の妖精に相談します。
「親と結婚するなんてもってのほか。難題をぶつけて、結婚を断りなさい」
王女は空の、月の、太陽の色のドレスをねだりますが、全て出来上がってしまいます。
最後の手段として、あの財宝を産むロバの毛皮がほしいとねだります。
その願いも叶えられ、王女はロバの毛皮を着て夜陰にまぎれて城を脱出します。
妖精の手配どおりにある村にやって来た娘は、羊番として働きます。
臭くて汚い毛皮を着る娘は、村人みんなから邪険に扱われます。
「日曜日に王子様がお越しになっても、絶対に姿を見せるなよ」
でも、妖精の導きで、王子はロバの毛皮の羊番が美しい娘だと知ってしまいます。
王子は病に臥し、心配する王妃にロバの毛皮の娘が作る菓子が食べたいと言います。
願いどおりに菓子が届き、王子がそれを食べると中から金の指輪が出てきます。
「わたしはこの指輪がぴったりの娘と結婚します」
国中の貴族や下働きの若い娘が集まり、なんとかその小さな指輪をはめようと…。
この映画はジャン・コクトーへのオマージュで、天井を突き破って洗われる妖精、
スローモーションで走るカトリーヌ、人の石像、遠い場所がのぞける鏡などなど。
それにきわめつけは、実の娘に結婚を迫る国王があのジャン・マレー!
彼の座る玉座が白ネコのぬいぐるみみたいで、フワフワしていて可愛い。
時々ミュージカルになるのだけれど、歌詞がヘンテコなのが今回のトラウマ。
♪隠れて悪い事をしよう〜お菓子をむさぼり食ったり〜♪
♪酒を飲んだり〜タバコを吸ったり〜♪ guracolo王妃は決して許しませんよ!