トラウマティック銀幕 脳内ニューヨーク
‘マルコヴィッチの穴’ではジョン・マルコヴィッチの頭を船にした。
だから、今回はフィリップ・シーモア・ホフマンの頭の中に、
ニューヨークを作るのかって思ってしまったじゃないか!
<脳内ニューヨーク>
ケイデン・コタードは劇団の演出家で、妻のアデルはミニチュア絵画の芸術家。
舞台初日を迎えるのに、妻は作品の準備があるからと観に行かず、
数日後にようやく観ても浮かぬ顔。そして、ケイデンにいきなりこう切り出す。
「展覧会をやるドイツには娘だけ連れて行くわ。帰ったら話し合いましょ」
彼女のドイツ人の女友達マリアも同行し、待てど暮らせど妻子は戻らない。
自分に思いを寄せる切符売りのヘイゼルと付き合っても、心ここにあらず。
ある日、ケイデンは雑誌にタトゥー娘の記事を見つける。ドイツにいる娘だ。
怒りに燃えてドイツに渡り、マリアに詰め寄るが妻子の居所はわからない。
寂しさの極致の中、ある朗報が届く。芝居が認められ莫大な賞金を獲得。
ケイデンはその金で巨大な倉庫を買い取り、そこに劇場を作り芝居を打つ。
組まれるセットはニューヨークの街。ケイデンの頭の中のNYを再現する。
彼の役を演じるのは、20年間ストーカーのように彼につきまとったサミーだ。
芝居を演出し続ける一方、劇団員の若手女優クレアと再婚するケイデン。
死の床にある娘に、身に覚えのない同性愛行為を告白させられるケイデン。
ドイツから帰国した前妻のアデルが住むマンションに掃除婦として侵入するケイデン。
クレアと別れた後に、演出助手をするヘイゼルと寄りを戻すケイデン。
彼の人生は芝居に随時シンクロし、現実と虚構が絡み合う。
延々と芝居は続けられ、団員は減りセットは荒廃。そして、年老いたケイデンは…。
…てな具合なのかな?なんせ、いつも以上にわけがわからないモヤモヤが満載。
まずは不幸のオンパレード。咳ばかりしているアデルは後に肺癌で死亡。
娘は母の恋人マリアに全身刺青され、同性愛を目覚めさせられ、最後は病死。
主人公のケイデンも皮膚病、眼疾、神経病、心臓病、足の痙攣などなど。
恋人のヘイゼルは煙で窒息死。サミーは自殺。美人セラピストは足が水膨れ。
しょっぱなからなんじゃこりゃ〜!なのはトイレの場面が執拗に繰り返し登場。
幼い娘がグリーンのウンコをしたと言い、アデルが娘の尻を拭いた紙を確認。
ケイダンが灰色のウンコをして、それをスプーンですくい取って確認。
アデルのマンションに侵入したケイダンは、用を足して尻を拭いた紙を確認。
わざわざウンコで不健康の確認をやってるようだな。
今回の特上トラウマは、なぜかずっと燃え続けているヘイゼルの家。
そもそもなんでそんな物件を売っているねん?なんでそれをまた買うねん?