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トラウマティック銀幕 愚なる妻

シュトロハイムと言えば、「サンセット大通り」での大女優に使える運転手役。
でも実はこの女優の元夫で元監督。そして実生活でも元監督。
噂ではいろいろ聞いてるけど、このひとの監督作品を観るのは初めて。怖いよう〜。

<愚なる妻>

モンテカルロ郊外のヴィラに滞在するのは、ロシアの軍人カラムジン伯爵と、
いとこのオルガ・ペチュニコフ侯爵夫人と妹のベラ。だが、なんだか様子が変だ。
まず、このヴィラを訪ねて来るのは、みすぼらしい身なりのベントゥッチ父娘。
父とオルガが何やら密談中に、知恵遅れの娘に興味を持つカラムジン。
父親は実は偽札づくりで、オルガに見本を見せに来たのだ。
オルガ「アメリカ大使夫妻がモナコに新しく赴任して来るわ。
偽札を使うカジノパーティでひと儲けして逃げるまで、隠れ蓑にしちゃえば?」
実はこの三人は詐欺師と二人の愛人だ。そうとも知らない召使は伯爵に迫る。
「いつ結婚してくださるんですか?」「今は無一文だからだめだ」と嘘泣きする伯爵。
召使のマリューシュカは貯金を全て貢ぐ。それを元手に伯爵は大使夫妻と豪遊。
昼は射撃大会。夜はゴンドラ遊び。伯爵は大使夫人と、侯爵夫人姉妹は大使と。
大使夫妻は夫が41歳で妻は21歳。忙しい夫と暇で愚かな妻。
ある日、伯爵は大使夫人と田舎へ遠出に。途中で嵐に出くわしてあばら家に避難。
疲れてぐっすりと眠る夫人の操を伯爵は奪おうとするが、旅の僧に邪魔される。
別の日、モンテカルロのカジノに大使夫妻と伯爵たち。夫人はなぜか大金をゲット。
そのあと、ヴィラで伯爵主催のカジノパーティが開かれるが、夫だけが参加する。
夫人は頭痛でひとりホテルへと戻る。ホテルに入る前に伯爵は手紙を彼女に渡す。
「大金を明日払わなければ、自分の命と名誉がなくなります。どうか助けて下さい」
ヴィラに駆けつけた夫人を寝室に招く伯爵。召使が爪をかみながら鍵穴から覗く。

女の敵で虚飾にまみれた男の末路は○○まみれ〜。天罰というか自業自得というか。
モンテカルロホテルの巨大セットでユニヴァーサルの屋台骨を揺るがしてクビに。
MGMで撮った‘グリード’は50時間もの大長編が2時間弱にカットされる。
細部にこだわる監督はあまたいるけど、このシュトロハイムこそナンバー・ワン!
随所にハッとするようなカットがあって、この人の美的感覚は本物。
製作中の裏話はケネス・アンガー著「ハリウッド・バビロン」に詳しくあった。
読み返さんといかんな〜。でも、あの本も極トラだからなあ。そのうち…。
さて、今回のトラウマはニセ伯爵が朝から飲む「牛の生血」。スッポンかいっ!