トラウマティック銀幕 山の郵便配達
7年前にguracoloパパが亡くなって以来、父ものは避けていた。
そろそろいいかな?でも、やっぱりまだだめか?ってのがトラウマ。
もうすぐパパの誕生日ということで。父親ってのをシンミリ想ってみたい。
<山の郵便配達>
80年代の中国湖南省の山岳地帯。長年にわたり道なき道を行く郵便配達夫。
今朝は父の仕事を継いだ息子が行く。だが、旅の相棒犬「次男坊」は父を待つ。
父が息子の初配達の旅に愛犬を送り出そうとしても、犬は頑として動かない。
仕方なしに一人で旅立とうとする息子を、父は犬を連れてあとを追う。
‘困ったことが起これば、どっちが決めればいいんだろう’父の同行に戸惑う息子。
先を行く息子の背中を嬉しそうに見つめる父親。「人とすれ違う時は右に寄るんだ」
‘休みたいけど言えない。荷物が重くて辛い’、弱音を吐けないでいる息子に、
「大して歩いてないのに疲れた。やっぱり年だな」と休憩しようと座り込む父。
初心者に的確なアドバイスをする父と、父の足の具合を心配する息子。
最初の村では、最後の配達と知った村人たちが父をねぎらうために集まる。
二番目の村では、孫からの仕送りの入った手紙を祖母へ直接手渡す。
盲目の祖母のために父が途中まで読み、続きを読むよう息子に渡された手紙は白紙。
あとで息子は父に訊く。「孫にかわって仕送りや手紙を出す必要があるのか」
近くをバス道が走る。「どうしてバスを使わないの」「いつ来るかわからないからだ」
「ヘリが飛ぶ時代だよ。バスを使えば」「道がないところも行かなきゃならない」
川を渡り、崖を登る。「人と会っていろいろ学んだ。職を変えようとは思わなかった」
ある村では婚礼。父子も宴会に招かれる。地元の娘と楽しそうに踊る息子を見て、
父は昔を思い出す。妻も山の民だ。配達で訪れるたびに互いを意識するように。
息子にあの娘はどうかと聞くと、母と同じだと言う。嫁いでも故郷を恋しがるだろう。
配達の旅でほとんど家にいず、妻には寂しい思いをさせ、息子にはなつかれなかった。
父親は最後の配達の旅を通して、自分の歩んで来た道をもう一度改めてふりかえる。
父と息子。今まであまり話を交わさなかったふたりが、実は互いを細やかに思いやる。
最初は遠慮がちな気持ちが、黙っていてもだんだん通じるようにってのがアジア的。
ジェネレーション・ギャップはある。不器用で融通のきかない父親に合理的な息子。
でも、衝突しない。自我を押しつけ合わない。相手の気持ちを尊重し合っている。
息子は父親が辺境の人々にいかに感謝されているかを旅を通してわかり、
苦労の多い仕事は自分の代限りと思ってた父親は、あとを継ぐ息子を誇らしく思う。
息子に背負われて流れの急な川を渡る時に、幼い息子を肩車したのを思い出しながら、
愛おしそうに息子の頭にそっと頬ずりして父は涙を流す。めちゃベタだけど好き。
今回のトラウマは息子の旅のお共はラジオ。曲に合わせて歌うんだけど驚きの音痴〜!