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トラウマティック銀幕 地獄

前回が救世主ものだったからって、今回はこれ?
いろいろな監督の地獄ものはあるけど、トラ銀的には神代辰巳でしょう。
この時代の原田三枝子はキュートな顔で脱ぎっぷりのいい女優さんだったなあ。

<地獄>

昭和30年。山越えする男女二人。男は生方竜造で女は義妹のミホ。不倫の仲。
山小屋に隠れて、身重のミホは言う。「あの人は追ってくる。殺されるわ、私たち」
竜造の弟の雲平が乱入し、銃で竜造を撃つ。ミホは脱出するが狩猟用の罠にかかる。
「お願い、お腹の子供の命だけは助けて」「その子の父親は兄さんだろうが」
ミホの腹を何度も足蹴にして立ち去る雲平。入れ替わりに竜造の妻シマがやってくる。
命乞いするミホを見捨てるシマ。翌日、村人たちはミホの死体を見つける。
死体から赤ん坊が出てくる。ミホの体だけずるずると滝壺の方に引っぱられて沈む。
地獄に堕ちたミホには姦淫と地獄で産むはずの子をこの世に産み落とした罪が重なる。
生まれながらに地獄を背負いこんだ我が子アキを、ずっと見続けなければならない。
村人たちによって生方家へと運ばれた赤ん坊のアキを殺してしまいそうなシマ。
執事の山路が捨て子を拾ってきて、取り替えてアキを施設へと送る。
成長したアキはスピードレーサーになったが、最近、幻聴に悩まされ大事故を起こす。
しばらく休養のため温泉地に行くが、列車の扉が勝手に開いて落ちそうになり、
命を助けたのが帰省途中の生方幸男。そのまま生方の家に泊まることになる。
幸男の母親がシマ。ミホと生き写しのアキを見て、因縁を感じる。
孤児のアキは母親を知らない。でも、ますます幻聴やおかしなことが身辺で起こる。
シマから渡された赤い着物を着て、寺の裏の墓場を訪れると、金輪が一斉に回り出す。
地響きが起こり、滝つぼへと堕ちる途中の枝でアキが引っ掛かっているところを、
助けたのが幸男の兄の松男。何かに憑りつかれたアキは松男に自分を抱くよう迫る。

この後、アキはシマや雲平に復讐を果たし、生方家全員を文字通り地獄へと送る。
で、自分も地獄へ堕ちちゃって、母親を求めて地獄めぐりをするんだけど…。
地獄のセットがちゃっちい。東映作品だけに、まるで赤影さんのスタジオ。
シマと雲平と松男の岸田今日子田中邦衛石橋蓮司のドロドロトリオはいいとして、
さわやか男前な林隆三も、あのまぼろしのアイドル栗田ひろみも、
みんな地獄で亡者となる。それもなんだか楽しそう。まるでコントみたい。
なんかようわからんけど、あの世の地獄よりもこの世の地獄の方が怖いってことかな?
今回のトラウマはアキの三味線に号泣する竜造ミイラ。笑う場面じゃないのに笑える。