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トラウマティック銀幕 裁かるゝジャンヌ

千葉市図書館はえらいぞ!こういう名作をただで貸してくれる。ありがとう!!!
28年度製作で白黒の無声映画なのに、見終わってから、え?セリフなかったの?

裁かるゝジャンヌ

英国軍に高額な身代金を払って、ジャンヌは囚われの身のまま異端審問にかかる。
「おまえは神につかわされたと言うのか?」「フランスを守るために」
「神はイギリスを憎まれたのか?」「いずれ英国軍は去りましょう」
審問官たちはジャンヌから自分たちに都合のよい答えが得られずに苛立つ。
「聖ミカエルに翼はあったのか?王冠は?衣装は?男だったか女だったか?」
「神に何を求める」「魂の救済を」「なんたる冒涜だ」
ひとりの男が異を唱える。「これは審判ではない、迫害だ」
男はジャンヌの足元に膝まづく。「この方は聖なる方だ」
ジャンヌは床にうつった窓の桟の影に十字架を見出し、恍惚の表情を浮かべる。
審問官は国王からの手紙を読み上げる。‘私がつかわした審問官たちを信頼せよ’
「主の救いを確信したというなら、教会は不要なんだな」
ジャンヌに忠告する者が出てくる。「慎重に。答えに重要な意味があります」
「汝は恩寵に浴しているのか。もし、ミサに与れたら男の服を捨てるのか?」
「汝は神の娘ではない、サタンの娘だ」拷問の用意がされ、恐怖に失神するジャンヌ。
寝台に寝かされ瀉血される。ここで死なれたら身代金が無駄になると牢の番人が言う。
意識を取り戻すと審問官は「お前は悪魔に膝まづき、悪魔に裏切られたのだ」
「あなたたちこそ私を苦しめるために悪魔につかわされたのです」
「このままではお前は破門だ。改悛を示せ」
審問官が差し出す書状に一度は署名したジャンヌだがすぐに撤回する。
「わたしは神の娘です。わたしは神につかわされたのです」

無学で文盲の少女が神の啓示を受けてフランスのために戦ったのに、異端審問。
英雄と称えられるべきはずが、悪魔のしもべだと自白を迫られる。まさに不条理。
罪を認めれば終身刑で済ます審問官。彼女を英雄視する民衆の怒りを抑えるためだ。
ジャンヌにはそんな俗な考えが通じない。聖職者たちよりもずっと聖なる存在だから。
ジャンヌ役のルネ・ファルコンティの表情だけの演技がすさまじい。
白と黒だけの世界なのに美しすぎる。カール・ドライヤーの魔術だ。
今回のトラウマは火あぶりのジャンヌから、突然お乳を飲む赤ちゃんが大映し。
火刑に抗議しながらも授乳する母親。あまりのおっぱいモロ出しにびっくりしたぞ。