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トラウマティック銀幕 悲情城市

最近のラインナップで察しのいい方は見抜いているかもしれない。
どれもみんな短めの映画ばかり。最近はかなり集中力が衰えてきているから。
この映画はずっと観たかったんだけど160分だからなあ、やめよかなあ…。

悲情城市

1945年、51年にわたる日本の台湾統治が終わる。
ラジオから玉音放送が流れる中、一人の男の子が産声を上げる。
父親は林文雄。船問屋だが、先代が地元で知られたヤクザだったため闇世界と繋がる。
文雄は四兄弟の長男で、次男と三男は出兵、聾唖者の四男は台北写真屋を営む。
その四男の文清の店舗を兼ねた家には新聞社に勤める呉寛栄が下宿し、
時おり記者仲間や林先生たちがやって来て、社会情勢について議論を戦わせる。
寛栄の妹の寛美が文清の実家近くの病院で看護婦になることになり、文清がつきそう。
林家の三男文良が戦地から精神を病んで戻り、赴任したばかりの寛美が世話をする。
日本人は引き揚げ船で去り、中国本国からの外省人が中心となって国民政府を樹立。
それとともに、今まで闇世界を牛耳ってきた本省人の縄張りに上海の一派が浸食する。
回復した文良は闇世界の赤猿と組んで、店の若党の阿嘉と麻薬を密輸しようとするが、
赤猿は上海一味に殺され、文良は売国奴と密告され大陸警察に逮捕される。
文雄は上海一味と手打ちして文良を警察から出すが、拷問のせいで廃人と化していた。
2月28日の未明、台北で闇タバコ屋の摘発をめぐり、外省人本省人が衝突。
陳儀率いる国民党は戒厳令をしき、本省人の知識人を中心に弾圧を行う。
地方の本省人は逆に日本語を話せない外省人を見つけ出しては、リンチを加えていた。
手打ちしたものの阿嘉が上海一味に斬りかかって返りうちにあい、文雄も射殺される。
そして、知識人弾圧のターゲットである林先生や呉寛栄との関係で文清も逮捕される。
なんとか釈放されたが、山中に隠れ住む寛栄が捕まり、金銭援助したのが発覚する。
寛美と結婚し息子が生まれたが、覚悟を決めた文清は三人で家族写真を撮る。

数年前に観た「戯夢人生」は日本による台湾統治の始まりから終わりを描いていた。
時代が大きくうねるのに、描き方があまりにも淡々としていた。まさに枯淡の境地。
こっちの方がまだドラマチックな展開があり、160分があまり長く感じなかった。
監督の侯孝賢はプロっぽい俳優をあまり使わないけど、さすがに四男の文清役、
トニー・レオンの演技が突出。言葉を話す役だと他の役者とバランスが崩れていたな。
相変わらず台湾の美しい風景がまさに映像詩だったけど、音楽にちょっと違和感あり。
中国テクノか坂本龍一っぽい。音楽監督立川直樹って、あの評論家の?まさかね。
日本の統治が長かったからいかにも日本って料亭や洗面所や障子や畳の部屋が登場。
今回のトラウマは長男文雄。肌着のシャツに腹巻きにズボン。まるで日本のおっさん。