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トラウマティック銀幕 欲望

外国映画で日本語タイトルと原題が全く違うことは多々ある。
で、時々困ったことになるのは、たまたま原題の方が有名だけど、
日本語タイトルを知らないために、見逃している場合。これがそうだった。

<欲望>

才能あふれる人気カメラマンのトーマスは、美しい風貌を汚して貧民街へ潜入。
社会の底辺の人々のルポルタージュを撮り終えると、人気モデルとのフォトセッション。
そのあと複数のモデルを相手にファッション写真の撮影だが、やる気が失せて外出。
ロンドンはつまらない。女もつまらない。外国にでも行こうか。編集者のロンにぼやく。
気まぐれか、思いつきか、売りだされている骨董店を買おうと代理人に交渉させていた。
店に行ってみると主人は外出中で、戻るまで近くの公園で時間つぶしすることに。
ほとんど人がいない中、若い女と初老の男のカップルがいちゃついている。
興味を持ったトーマスは二人を盗撮。女が気づいてトーマスにフィルムを渡すよう迫る。
その場はなんとか逃げたが、後日、女はトーマスのスタジオにやってくる。
女はフィルムを取り戻すために服を脱ぎ、トーマスは別のフィルムを渡すが、
いざと言う時に客が来て邪魔され、女が残した連絡先はうその電話番号。
フィルムを現像すると、男と抱き合う女の視線が気になる。冷たい目で脇を見ている。
その視線の先になにがあるか、トーマスが写真を拡大(ブロウ・アップ)すると…。

ロックファンにはこの映画は超有名。なんせワンシーンにヤードバーズが出ていて、
それもジミー・ペイジジェフ・ベックツインギターという貴重な映像。
アントニオーニ監督作品ではピンク・フロイドが音楽の『砂丘』もある。観なきゃ。
60年代後半のスウィンギング・ロンドン。芸術・文化・音楽・ファッション花盛り。
時代の風雲児のトーマスは自らの才能に絶対の自信を持ち、傲慢で怖いものなし。
違う世界に潜入しても、モデルをたきつけて素晴らしい写真を撮っても、つまらない。
不遜な態度とノーブルな顔立ちと育ちの良さ。デヴィッド・ヘミングスはまさに適役。
女はどれもビッチと言うトーマスがひとり気を許すのは、友人の画家ピーターの彼女。
ここでのサラ・マイルズも独特のムードがあってトラ度満点。出番が少ないのが残念。
ブレイク前のジェーン・バーキンがトーマスの追っかけ。垢ぬけてなくて痛い。
謎の女はバネッサ・レッドグレイブ。ジャズに乗って体を妙な具合に揺らす。痛すぎる。
骨董屋店主の若い女性は店の売り値は8ポンドでいいって、この時代の女性は個性的…。
今回のトラウマはヤードバーズのライブ客。まったく無反応。微動だにしない。
アンプの具合も悪いけど、ジェフ・ベックが怒ってギターを叩き壊すのも無理ないよ。
その横で何事もなさそうに、にこやかにギターを弾くジミーもジミーだけど。