guracolo docolo

摩訶不思議な guracolo ワールドへようこそ!

トラウマティック銀幕 安城家の舞踏会

鎌倉に行ってきた。どこもかしこもひとだらけ。浜はとんびだらけ。
ああ、もっと優雅で上品で落ち着いた鎌倉に行きたかったよ〜。
仕方ない、映画で我慢するか〜。

安城家の舞踏会>

戦後、農地解放や華族の解体。安城家の生活も一変する。
屋敷は抵当に入っており、このままでは手放すことに。
家長の安城忠彦は華族の最後として舞踏会を開こうと提案する。
長女の昭子は賛成だ。「舞踏会を華族の美しい思い出にするのです」
長男の正彦はノンシャラン。「開いても開かなくても、大した違いはないよ」
次女の敦子は反対だ。「華族を捨てなければ、新しい生活を始めることはできません」
敦子は元運転手の遠山を家に呼び、屋敷を買ってもらうよう頼む。
遠山は世話になった恩返しがしたいと言うが、実は出戻りの昭子に思いを寄せている。
忠彦はせっかくの申し出だが、信頼してきた新川がなんとか助けてくれるからと断る。
自室に閉じこもった忠彦を訪ねて、敦子の伯父である忠彦の弟がやってくる。
「新川は頼りにならない。時代が変わったからと、手のひらを返したような態度だ」
その知らせを伝えようと忠彦の部屋に入る敦子だが、なかなか父に伝えられない。
藩主、伯爵と繋がる名家安城家が自分の代で途絶える。忠彦の心痛は計り知れない。
敦子は父に申し出る。「舞踏会を開きましょう。新しい門出のために」
招待客は続々集まり、舞踏会は開催される。そのなかに娘を連れた新川の顔も。
長男の正彦はその娘と婚約していた。一度は結婚を約束した召使いの菊を捨てて。
忠彦は自室に新川を招き、昔からの信頼関係のまま助けてくれるよう懇願するが、
冷たく拒絶される。絶望に駆られた忠彦は拳銃で新川を撃とうとするが、敦子が止める。
その様子を目撃した正彦は、自分に夢中の新川の娘を酔いつぶれさせ、温室へと運ぶ…。

ごらんあそばせ、およしあそばせ、ごめんあそばせ…、あそばせ言葉のオンパレード。
原節子華族のお嬢様がぴったり。‘お嬢様に乾杯’という映画もあったなあ。
あちらも戦後貧しい生活となる元華族のお嬢様と、成り上がり青年の結婚がテーマ。
父娘ものなら小津の‘早春’だけど、あちらのお父様は飄々と我が道を行くけど、
こちらのお父様は敦子がいなければって、父子が逆転してるぞ。母親のような娘。
舞踏会が終わり、新しい夜明けを迎えるあの笑顔。明るい未来がやってくるに違いない。
長男の正彦の人物造形が素晴らしい。さすがれっきとした華族出身の森雅之
誇り高く傲慢で移り気で、繊細で実は愛情が細やかで。ピアノを弾く指が細くて美しい!
今回のトラウマは逢初夢子の昭子さま。「わたくしはあなたのことなど…」
遠山を憎からず思っているのに、ハンカチをキリキリと噛む。ハンカチがかわいそう…。