トラウマティック銀幕 気狂いピエロ
子供の頃、いろいろな映画を特集したTVのバラエティ番組を見ていて、
確か衝撃のラストシーンのコーナーみたいなのがあった。
‘俺たちに明日はない’も強烈だったけど、こっちの方がショックだった。
<気狂いピエロ>
フェルディナンはTV局をクビになったばかり。今夜は妻の実家のパーティーに行く。
妻の父は裕福な実業家で、新しい仕事を世話してもらえるかもしれないと妻はいうのだ。
当の本人は気が乗らない。実は妻ともうまくいってない。結婚生活に飽き飽きしている。
だが、妻の知り合いのフランクが迎えに来る。ベビーシッターのために彼の姪を連れて。
パーティーに行ったものの、客たちは車や香水やロケットなど興味のない話ばかり。
途中で抜け出して自宅に戻ると、フランクの姪は椅子に座ったまま眠っている。
彼女を家まで送って行くことに。名前はマリアンヌで、フランクの姪でなく愛人だ。
しかも、5年前にフェルディナンと別れて、その後お互い別の相手と一緒になった。
そのままマリアンヌの家に泊まり、朝になるとなぜか背中を撃たれた男の死体が。
そこへフランクが帰宅し、フェルディナンとマリアンヌは共謀して殺害。
着の身着のまま車で逃避行。スタンドでガソリンや車を強奪、カフェで無賃飲食。
逃亡劇で主導権を握るのは暴力的なマリアンヌの方だ。そして、海辺の寒村に到着。
空家を見つけ、狩ったり釣ったり盗んだりして食糧を獲得。観光客からも金をせびる。
執筆や読書三昧の生活にフェルディナン。「人生は悲しいが美しい」
一方、マリアンヌはしだいに苛立ちを募らせる。「私、何ができる?」と繰り返す。
実はフランクは組織の人間で、追っ手が迫っていた。マリアンヌは単身で話をつける。
「かなりヤバイ事になりそう」隠れてフェルディナンに電話するマリアンヌ。
でも、話し合いの場に彼女の姿はなし。ハサミで首を刺された組織の人間の死体だけ。
コケティッシュな顔立ちに蠱惑的なバストと肢体の最強の悪女のマリアンヌ。
人生とは?虚無的に生きるフェルディナンの唯一確かなものは彼女への愛。
マリアンヌも一度はその愛に応えようとしたよ。毎日同じ服、ダンスも行かず、
難しいことばかり言う思索的な男と穏やかだけど退屈な海辺の生活。
自問自答の「私、何ができる?」とため息を繰り返す。そして、やっぱりダメ!
で、誘惑して、利用するだけ利用して、あとはポイ!とは行かなかったけど…。
でも、結末を彼女は予見していたはず。フェルデナン像を的確にとらえていたから。
「優しくて残酷、現実的で超現実的、恐ろしくて滑稽な気狂いピエロ」と。
今回のトラウマはガラ空きの映画館のニュース映像の次に流れる8ミリカメラのCM。
ジーン・セバーグが撮影してるのが、遠くでロバに乗ってるメキシコ人?わけわからん。