トラウマティック銀幕 紅いコーリャン
この前のゴールデンウィークには会津の酒蔵めぐりをしてきた。
お酒は量はあんまり飲めないけど、種類を問わずに大好き。
でも、このコーリャン酒はまだ飲んだことないなあ。ジュルル〜。
<紅いコーリャン>
1920年代の中国農村部。紅い駕籠に乗って、花嫁が運ばれていく。
造り酒屋の李大頭に嫁ぐが、婿は50代。しかもハンセン病患者だ。
貧しい農家の娘がロバ1頭と引き換えに買われたのだ。
懐にハサミを隠し持って、その花嫁チウアルは荒っぽい風習‘嫁いじめ’を耐える。
駕籠をかつぐ男たちが歌を歌いながら、猛烈に駕籠を揺らすのだ。
花嫁がもらす泣き声で嫁いじめをやめ、男たちは広大なコーリャン畑にさしかかる。
いきなりピストルを持った覆面男が現れる。強盗で名高いサンパオか?
金を奪い、花嫁も誘拐しようとするが、駕籠かきの臨時雇いが覆面男にとびかかる。
サンパオを騙る覆面男はピストルも偽物で、大頭の家のものにあえなく殺される。
真っ先に飛びかかった臨時雇いのユイ・チャンアオに熱い視線を注ぐチウアル。
そして、駕籠の隙間からはみ出るチウアルの靴を握りしめるチャンアオ。
嫁いで三日目の新妻は実家に帰る習わしで、チウアルも祖父の迎えに里帰りする。
途中のコーリャン畑でチウアルを突然おそった覆面の男は実はチャンアオだ。
お互いの思いを遂げて、再び実家に向かうチウアルにチャンアオは歌で送り出す。
‘前に向かって突き進め。前だけ向いて振りむくな’
里帰り中に李大頭は何者かに殺害される。酒造り職人たちは災いの元は新妻だと言う。
孤立するチウアルにひとり親切にするのが職人たちのリーダー格のルオハンだ。
出て行こうとする職人たちに未亡人は訴えかける。「酒造りをやめてはいけない」
女主人に試練が襲う。本物のサンパオ一味や、チャンアオとの対立でルオハンの出奔。
再会はその9年後。ルオハンは日本軍に捕まり、見せしめにされようとしていた。
紅い駕籠、紅い花嫁衣装、紅い角かくし、紅い酒、紅い牛の内臓、これでもかの紅。
これがデビュー作とはとても思えないチャン・イーモウの紅い映像世界。
当時、まだ新人だったコン・リーの目力のすごさ。恋の力もすごいな。
中国内陸地方の強烈な土着色。荒涼とした砂漠に一角に鬱蒼と茂るコーリャン畑。
すごい生命力、繁殖力、突破力、サバイバル力はその後の中国を暗示している?
映像もいいが音楽もいい。太鼓中心の民族音楽っぽいものと、職人さんたちの歌。
職人さんっていいなあ。特にひたむきなルオハン!けっこう好みかも…。
今回のトラウマは居酒屋で出す酒のつまみ。牛の頭。1頭分をそのまんま。
チャンアオは‘食えるか!’でも、しっかり食って骨にしちゃう。やっぱたくましいわ。