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トラウマティック銀幕 コレクター

テレンス・スタンプの主演映画がまもなく公開される。
‘アンコール!’というタイトルで共演はヴァネッサ・レッドグレープ。
病気の妻のためにロック・コーラスで歌う頑固爺さんの役柄だって。う〜ん…。

<コレクター>

銀行員のフレディは同僚からイジメられる毎日だったが、サッカーくじが大当たり。
大金を得て趣味の昆虫採集に明け暮れる。ある日、人里離れた所に売家を見つける。
庭には都合良く離れもあるから買うことに。これでかねてからの計画を実行できる。
ターゲットは画学生のミランダ。レディングに住んでいる頃にバスで乗り合わせてから、
ロンドンの学校に通う今でもずっと、彼女に知られないようその姿を追い続けていた。
彼女がパブで年上の画家らしき男性と深刻そうな話を終え、ステバチになって歩くのを、
クロロフォルムを嗅がせて車に押し込む。だれもその場を見た者はいない。
離れに運ばれたミランダは目をさまして驚く。洋服や本や画集などをそろえた部屋。
ビシっとスーツで決めて礼儀正しい誘拐犯が朝食のトレーを抱えてやってくる。
彼の目的は?父親は医者だが裕福ではない。身代金ではない。身体か?
「ぼくを知ってほしいんだ」「逮捕されるわ」「みんなが捜しているのは君でぼくじゃない」
道理を説いても、泣いても、仮病をつかっても、色仕掛けでも効果なし。
絶望的になるミランダにフレディは条件を提示する。きちんと食事して、会話をすれば、
六週間で帰してやる。ミランダはなんとか交渉の末、それを四週間にカット。
追加条件として、新鮮な果物とサラダ、画材、家族への手紙を書くこと、そしてお風呂。
母屋でのお風呂を許された夜、不意の訪問者がやってくるが、助けを求めるのに失敗。
そんなミランダにフレディは自慢のコレクションを見せる。部屋中を飾る蝶の標本だ。
「きれいだけどみんな死んでいるものばかり。わたしもここの蝶と同じなのね」

テレンス・スタンプ演じるフレディにどうしても味方してしまう
異常者なんだけど純情でナイーブで繊細で、無理やりなんだけど暴力的でない。
子供が蝶を追いかけてつかまえる感覚で、一途に思いを寄せている女性をつかまえる。
ミランダもそんな彼にどう対応すべきか暗中模索。あの手この手もすべて無効。
誘惑には乗らず、先の先まで読み、熱烈に愛しているのに冷徹な心が働く。
ふたりのやりとりは一種のゲームのようでスリリング。特にお風呂のシーン!
のどかな郊外が誘拐事件の舞台になっているが、なぜかイギリスっぽく見えない。
アメリカの巨匠監督にアメリカ資本にアメリカ人スタッフによるからかなあ?
今回のトラウマは文学や芸術へのフレディの正直な感想。同感してしまうものもある。
キャッチャー・イン・ザ・ライはつまらない、ピカソは悪ふざけだって。