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トラウマティック銀幕 コックと泥棒、その妻と愛人

今年のクリスマス・ディナーはどうしよう?日並びがイマイチだから家でかな?
質素だなあ。でも、この映画が舞台のレストランよりはずっとマシだと思うけど。

<コックと泥棒、その妻と愛人>

木曜日、男が集団でリンチされている。まずい料理を出したシェフらしい。
中心にいるのはアルバート・スピカ。泥棒一味の首領だ。妻はジョージナ。
一行はアルバートが所有するレストランへ。食材を載せたトラックも同行。
料理長に新しいネオンを披露するが、装飾よりも食材に金をかけろと言われる。
「トラックで運んできたぞ」「食材は自分で選びます」と、トラックを放置。
泥棒一味のマナー無視の晩餐に嫌気をもよおすジョージナがふと見やると、
男性がひとりで本を読みながら食事している。ふたりの目が合い、魅かれ合う。
ジョージナと本屋で学者のその男マイケルはトイレで激しく求めあう。
そこへ妻を探してアルバートがやって来る。だが、なんとか見つからずに済む。
金曜日、ジョージナとマイケルは料理長リチャードの機転で食糧庫で逢瀬。
テーブルに戻ると、味覚の鋭いジョージナーのために料理長は特別料理を出す。
同じ料理をマイケルが読書しながら食べているのをアルバートは目にする。
子分と子供の話になり、いきなり泣き出すアルバート。「ガキはまっぴらだ」
厨房で歌好きの皿洗いの少年を捕え、無理やり妻も連れて車内に閉じこもる。
「合唱団にいた少年のおれに教えたことを、こいつにも教えてやれ」
土曜日、食糧庫での逢瀬のあと。読書しながらの食事は身体に悪いだろうと、
アルバートはマイケルを自分たちのテーブルに誘う。初対面を装うジョージナ。
自己紹介しろと夫に言われ、「三度流産。子供ができないから浮気し放題よ」
マイケルはただちに放免、人目もはばからずジョージナを虐待するアルバート
日曜日、踊り子を呼びつけ、泥棒一味が馬鹿騒ぎするのをよそに逢瀬を楽しむ。
だが、子分の女が他の男と店の裏で浮気中に食糧庫のふたりを目撃する。
月曜日、アルバートに尻軽女と罵倒されたその子分の女は…。

レストランが舞台なのに、最初に観たときはかなり生理的にきつかった。
食べると言う行為にはエロとグロはつきものだけど、エグすぎて腐臭が漂う。
それもこれも味音痴で下劣で卑劣で、性的不能者でDVなアルバートのせい。
料理長には一応敬意を払うが、客を客とも思わない傍若無人ぶり。
子分にはマナーを守れと言うが、一番マナーを守っていない不作法ぶり。
なんでレストランオーナー?不条理づくしの好きなグリーナウェイだからなあ。
これほど嫌なやつはいないというアルバートマイケル・ガンボンが怪演。
脱ぎっぷりがカッコいいヘレン・ミレン、いい味のリシャール・ボーランジェ。
毎回絵画のような映像だけど、今回はジャン・ポール・ゴルチェの強力助っ人。
赤黒にちょい白の色使いの衣装・美術が絶妙。ゴルチェの全盛期だったよなあ。
相変わらずマイケル・ナイマンの音楽が効いている。特に少年の天使の歌声。
今回のトラウマはレストラン客。下品で騒がしい泥棒一味が常連なのに繁盛。
よっぽど美味しいんだろうけど、相当腹のすわったグルメたちだね。