トラウマティック銀幕 魂のジュリエッタ
フェリーニのカラー作品第一号らしい。
主役は奥さんのジュリエッタ・マシーナ。‘道’のジェルソミーナが強トラ。
それ以外を知らない。今回で脱ジェルソミーナとなるか?
<魂のジュリエッタ>
結婚記念日の夜、ジュリエッタは準備万端整えて夫の帰りを待つ。
だが、ふたりきりで自宅でのパーティーのはずが、夫は友人たちを連れ帰る。
夫は映画プロデューサー。取り巻きには占い師などのあやしげな人物も。
気を取り直して客をもてなすジュリエッタ。めずらしく交霊会にも参加。
女性で友好的なイリスとの交信に、男性で邪悪なオラフが割って入る。
「おまえはつまらない女だ。消えろ」そう言われて、ジュリエッタは失神する。
翌日、すでに夫は出勤。ジュリエッタは幼い姪たちを連れて近くの海辺へ。
居合わせた主治医に交霊会のことを話す。「奥さまは神秘がお見えになるから」
いつの間にかうたた寝をするジュリエッタ。浜でロープを引く老人がいる。
手伝うように老人にロープを渡され引っぱると、奇妙な人々を乗せた難破船と、
奇妙な人々を乗せたいかだ。驚いて目覚めると、奇妙な人々がテントを張る。
主治医は「あれは神秘じゃなくわたしにも見えます。最近越してきた隣人です」
姪たちを迎えにジュリエッタの妹と母が来る。ふたりとも優雅な長身美人。
ふたりの訪問に喜ぶジュリエッタだが、母は苦言。「ちょっとは化粧をしたら」
夜遅くに疲れて帰宅した夫はすぐにベッドで就寝。寝言で女の名前を呼ぶ。
翌朝、今日も昼食はいらないと言う夫に問いただす。「ガヴリエッラって誰?」
知らないと言うが動揺が明らかな夫。ジュリエッタは夫の浮気を疑う。
そこへ隣人のヴァレンティーナが優れた占い師がホテルに逗留中だと誘う。
老師と会ってジュリエッタは悩みを告白。「もっと愛されるよう努力しなさい」
セックス時に鳥の鳴き声をしろ、相手を噛め、黒い網タイツをはけと言われ、
憤然として部屋を出るジュリエッタ。インド女性の助手が彼女を呼び止める。
「今夜、新しい素敵なことが起こりますよ」老師の声はオラフに似ていたが…。
81/2の監督の奥さん側の映画って感じかも。夫役がマストロヤンニ似だし。
小柄で美人じゃなく、ささやかな幸せを大事にしてきた平凡な主婦だけど、
神秘を見るというジュリエッタの魂をがんじ絡めにしているものが総登場。
失恋で自殺した女友達、劇で主役の聖女役で火あぶりになるのを妨害した祖父、
その祖父が通いつめたサーカスの踊り子、そんな祖父をクビにした校長先生、
破天荒な祖父に涙する上品で美しい母、そして、正体不明の隣人たち、
占い好きで超おしゃべりのヴァレンティーナ、年増芸術家とモデルのツバメ。
浮気調査を依頼したベテラン探偵と助手、離婚なら力になると言う弁護士、
家政婦のテレジーナとエリザベタ、ジュリエッタに秋波を送るスペイン男も変、
そして、極めつきが怪しげな美男美女がたむろする屋敷の主スージー。
ジュリエッタが見る神秘が「スージーに従え」と言ってまたややこしい事に…。
フェリーニのカラー映画はポーのオムニバスの‘悪魔の首飾り’しか観てない。
映像の魔術師と言われているのに、これじゃいかん。もっと観なくちゃ。
ジェルソミーナのみならずジュリエッタの涙にもすっかりやられてしまった。
控えめで愛らしくて抱きしめたくなる。もっとこのひとの映画も観なくちゃ。
今回のトラウマは紫。指導する尼さんたちの服や芝居に出る子供たちの顔。
顔を絶対に見せようとしない尼さんたちだけど、衣装もお化粧も派手な紫好み?