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トラウマティック銀幕 卑弥呼


2012年06月19日 19:02
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グラコロ 暗黒舞踏派の土方巽が出ているというので興味にかられた。
篠田正浩岩下志麻の監督+女優の夫婦作品にはなかなか実験的なものがある。
特に‘心中天網島’では黒衣【くろこ】がうようよしていて面白かったな。

卑弥呼


ヒミコは神の森で神事を行う。鏡に受けた日の神の言葉を己の身体に宿す。
オオキミの息子でヒミコの異母弟のタケヒコが諸国をめぐる旅から戻る。
アダヒメが男子禁制の神の森で鹿狩りをするタケヒコを見つけたのだ。
ただちに自分のところにタケヒコを連れて来いと、ヒミコは側近ナシメに命令。
異母姉弟のふたりだが、ヒミコから誘うようにふたりは結ばれる。
オオキミには長男で乱暴者のミマキと知恵者のイクミがいる。
三人は最近の卑弥呼に不審を抱く。恋狂いの卑弥呼に神の言葉が読めるのか?
三人の話を盗み聞きしていたナシメは所有を禁じられている銅鐸を掘り起こす。
「神の言葉を信じないオオキミにはこの国のまつりごとは出来ない」
ミマキとイクミが控える中、オオキミが琴を弾き、ヒミコは天つ神の言葉を読む。
「丘に登り西を見よ。海の向こうに国つかみの神をまつる国がある」
そんな国はないとオオキミは一笑にふす。「国つかみの国を支配するのはわれ、ヒミコ」
トランス状態のヒミコに気を取られているミマキとイクミ。ナシメがオオキミを刺殺。
タケヒコは自分に思いを寄せるヒミコの側女のアダヒメとも関係を結ぶ。
嫉妬に狂うヒミコ。タケヒコを捕え、手の爪をはがし顔に刺青をして追放する。
そんなヒミコに失望したナシメはミマキこそオオキミの後継者となるよう進言。
ヒミコを民の目に触れないよう監禁し、ミマキは滅ぶと予言したトヨを後釜にと考える。
国つかみの国と通じたタケヒコが兵を率いて天つ国を攻撃するも返り討ちに。
タケヒコとアダヒメの死体を見て絶望し、もはや無力となったヒミコをナシメは…。

旅から戻ったタケヒコを国境で迎える白塗り顔でボロボロ衣装の異形の男たち。
舞踏というより蠢くというか、ひとというより妖怪というか化け物というか。
これが暗黒舞踏というものかあ。これはもう憑りつかれる。トラ度満点。
岩下志麻女王さまのお相手は当時アイドルだった草刈正雄のタケヒコ。美しい!
でも、なんといっても三国連太郎!愛国と愛憎と非情が入り混じるクセだらけ人物。
古代世界の自然美の情景とシンプルである意味モダンな室内セットの対比が面白い。
美術は粟津潔、音楽は武満徹、脚本が富岡多恵子、助監督が小栗康平と鉄壁。
今回のトラウマはやはり暗黒舞踏派の面々。土方巽はクモの巣を顔につけてたけど、
短かすぎる枝を杖代わりにするひとや、なんか口にくわえているひとも。鳥のささ身?