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トラウマティック銀幕 間諜Ⅹ27

この映画は結末だけ知っている。昔、衝撃ラストの映画特集をTVでよくやっていたから。
俺たちに明日はない’‘明日に向かって撃て’‘イージー・ライダー’等々。
おかげでプロセスは知らないけど結末だけ知っているって映画があるわあるわ。トホホ。

<間諜 X27>

第一次世界大戦下のウィーン。ヨーロッパ各国からスパイが潜入し暗躍する時代。
ガス自殺した娼婦仲間をアパートの外で見送るマリアにひとりの男が声をかける。
「ここは不吉だ。よそへ行こう」「ここに住んでいるし、わたしは生も死も怖くない」
マリアの部屋で男はある国のために働いていると言う。「男を手玉にとる女が必要だ」
マリアは男の話に乗ると見せかけ、警察に通報。男は逮捕されるが、実はテストだった。
男は警察に身分を明かす。翌朝、マリアはオーストリア陸軍省へ呼び出される。
若い中尉に案内されて、部屋に通されると昨日の男がいる。機密諜報部の部長だ。
再びスパイにスカウトされる。「使用人付きの屋敷をやるが、危険で下劣な仕事だ」
「わたしは恥にまみれて生きてきたから、むしろ名誉ある死を望むぐらいよ」
マリアは夫の大尉を一年半前に亡くし、生きるために娼婦に身を落としていた。
最初のターゲットは機密事項をロシアに流している疑いのあるヒンダウ大佐だ。
仮面パーティーで誘惑すると家に誘われる。そこへピエロ姿の男が邪魔をする。
結局三人で車に乗るが、ピエロ男は大佐にタバコを渡して途中で車を降りる。
家でいいムードの時、大佐は電話で中座。マリアは部屋を探ると召使いに見られる。
「タバコを探しているんだけど」「あいにく主人はタバコをお吸いになりません」
ピエロが大佐に渡したタバコに秘密文書が仕込まれていた。証拠を握られ大佐は自殺。
次に狙うのはオーストリア将校になりすましたロシアのスパイ。カジノに罠を張る。
だが、そのクラノウ大佐は色仕掛けにかかったようにみせて逃走。マリアは任務失敗。
大佐はマリアの部屋に侵入し指令書を盗み見、「君にすごく夢中だ」と告げて逃げる。
マリアは指令書どおりにロシアへ。新米メイドに化けて軍司令部に潜入するが…。

投げやりに生きていたマリアが能力と魅力を発揮し、間諜としてスリルを愉しみ、
ターゲットをまんまと出し抜くが、命まで奪うことには大いにためらいがある。
まして「恋に落ちた」クラノウ大佐の命を救える場に自分がいたら?
マリアも大佐も自国の兵士何千人もの命を守るために諜報戦を戦う。任務は絶対。
だが、そこはおとな。好敵手相手にけっこう戦いを楽しんじゃったりする。
おとなの駆け引きで魅かれ合う気持ちを見せたり抑えたり。ああ、おとなって素敵!
マリアの魅力に夢中だった若い中尉は叫ぶ。「女も男も、ひとを殺したくない!」
自国人のために他国人を殺す不条理、戦争被害者で娼婦となって差別される不条理、
そして、戦争の不条理を訴えるこの映画のわずか数年後に第二次世界大戦に突入…。
マレーネ作品はまだすべてを網羅していないが、今のところこれがベストだと思う。
今回のトラウマはピアノ。マリアはわかるが、クラノウ大佐も弾けるし譜面も読めるし、
おまけにあの諜報部の部長までも!子供の頃はみんなピアノのおけいこだったのね。