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トラウマティック銀幕 夏の妹

もうすぐクリスマス。トラ的なら大島渚監督の‘戦場のメリー・クリスマス’かな?
それにしても今冬は寒い。いっそのこと夏の映画でも観ようかな?

<夏の妹>

東京から大型客船が沖縄に到着。タラップを降りる客のなかに若い女性のふたり連れ。
泥酔いの初老の男が倒れる。ふたりは二室予約していたホテルの一室で男を休ませる。
女は判事の娘の素直子と父の婚約者の桃子。男は桜田。酔いから覚めて観光に誘う。
桃子が先に桜田と出かけ、あとで合流する素直子は街で風変わりな青年と出会う。
裸の上半身に百円で沖縄語を教えると書く。二言で二百円取って、青年は消える。
観光バスで三人はひめゆりの塔へ。缶ビールを飲み、泣いて石碑を見つめる桜田
「沖縄には殺されに来た。沖縄戦で殺された女子供の責任をとるやつがいないから」
すると突然、素直子が読んだのは大島鶴男からの手紙。夏休みに沖縄に来ないか。
「母は君の父親ともうひとりの男性とつき合っていた。僕はそのどちらかの息子だ。
東京の君の家に行ってこっそりのぞくと、庭に君がいた。君は僕の妹かもしれない」
素直子の目的は大島鶴男に会うこと。桃子は婚約者の元恋人の大島ツルに会うこと。
三人は大島に。ツルは外出中で、酔っ払った桜田と昼寝の素直子はツルの家で待つ。
桃子は外でツルを待つ。実は鶴男が東京で見たのは桃子だった。素直子だと勘違い。
桃子は事情をツルに伝え、桃子は鶴男の居場所を聞くが、どこにいるかわからない。
桃子は素直子に事情がばれないようツルは戻らないことにして、ふたりを連れ帰る。
そして、とつぜん素直子の父、桃子の婚約者の菊地耕助が沖縄にやって来る。

若い栗田ひろみ石橋正次とりりィのトリオでさわやか青春ものとなるはずが、
魑魅魍魎のようなおとなたちの存在で単なる狂言回しに仕立てられている。
殿山泰司小松方正佐藤慶戸浦六宏小山明子の大島組にはそりゃ負けるわな。
それでもりりィの美しさにはびっくり。素人抜擢に定評のある大島渚はさすが!
クセ者揃いの大島組で、武満徹の今回の音楽は意外に楽しくて明るくて普通っぽい。
時代はちょうど沖縄が本土復帰したばかりで、エキセントリックな魅力はもちろん、
琉球時代から長らく抑圧されてきた歴史や社会の暗部もしっかり名所案内的に描く。
前半はハンディカメラっぽい撮影で、まるで‘勝手にしやがれ’のラウル・クタール
最後の場面は絵のように美しい沖縄のビーチで、まるで‘軽蔑’のラウル・クタール
今回のトラウマはビーチで語られる大島組魑魅魍魎たちのおとなのエロ話。濃い〜。