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トラウマティック銀幕 カティンの森

A・ワイダ監督はずいぶんご無沙汰。たぶん‘ダントン’以来?
って、実はあと‘灰とダイアモンド’しか観ていない。もっと作品を観なくちゃ。

カティンの森

1939年、国境近くの橋にドイツ軍から逃げるポーランドの民。前方からひとが。
ソ連が侵攻してきたぞ、戻るんだ」その声を聞かず、前に進む女性とその娘がいる。
彼女はアンナ、ポーランド人将校の妻だ。夫アンジェイはソ連赤軍に拘束された。
野戦病院で事情を知る者に聞くと、捕虜となった将校たちは収容所に送られるらしい。
アンナは列車で移送するために集められた将校たちの群れに行きつく。夫はいた。
「一緒に帰りましょう」「軍人の誓いがある。自分だけ逃げるわけにはいかない」
夫は収容所送りとなり、アンナはその国境近くの町で辛抱強く夫の帰りを待つ。
一方、アンジェイの父で教授のヤンはナチスの将校ミュラーの講演でクラクフ大学に。
しぶる夫に妻は言う。「本当は行きたくないんでしょう?」「全員出席の義務がある」
大学の講堂でのミュラー。「勝手に大学を再開したのは反ドイツの意志表示だ」
教員はヤンを含めて全員逮捕され、収容所送りに。抗議した者は射殺される。
さて、アンナはポーランド人で赤軍将校となった男に匿われており、結婚を迫られる。
拒否するアンナに男は、「将校の妻は僻地送りになる。あなたを守りたいんだ」
そこへソ連赤軍がやって来て、アンナとは別に匿われていた母子が連行される。
アンナは娘を連れてクラクフの夫の実家へ逃れるが、1943年、ある知らせが…。

スターリンヒトラーにも勝る化け物だけど、その命令で大虐殺を行った部下たちも、
諜報網で事件を知りつつ沈黙した英米も、ソ連の仕業とプロパガンダ利用したドイツも、
戦争はこうもたやすく罪の意識を持たない非人間を大量に生む。人間不在とさせる。
ソ連による殺戮は家畜の屠殺感覚で行われ、罪をドイツにきせたままポーランド支配。
ペレストロイカ以降に鎖を断ち切っても、事件の顛末が明らかにされたのは最近のこと。
人間は恐ろしい。どうしても性悪説に傾いてしまう。いまの政治の傾きも恐ろしい。
今回のトラウマは深刻すぎるから難しい。家政婦から市長夫人になったスタシャかな?
横柄だった大将夫人と立場逆転。未亡人になった元主人に夫を自慢。見返せたね。