guracolo docolo

摩訶不思議な guracolo ワールドへようこそ!

トラウマティック銀幕 蜘蛛女のキス

蜘蛛が大嫌いだ。今、ここに蜘蛛と書いてても、ゾワゾワする。
だから最初、蜘蛛女のキスという題名を聞いて、女の顔を乗っけた巨大蜘蛛が、
蜘蛛の巣にかかった男の人に襲いかかって、無理やりキスをするといった、
楳図かずおみたいな映像を想像してしまったじゃないか!

<蜘蛛女のキス>



ブエノス・アイレスの牢獄に政治犯ヴァレンティンとゲイの受刑者モリーナ。
最初はお互い何の接点もなく、二人の関係は最悪。
ヴァレンティンの説く革命をモリーナは幻想だとし、
映画の話をするモリーナにヴァレンティンは現実からの逃避だと軽蔑する。
おまえは男なんだから男らしくしろと説くのに対し、モリーナは反論。
「犬やオカマみたいに男がもっとSensitiveになれば、Violenceが蔓延らないのに」
モリーナのお気に入りの映画はナチ占領下のパリが舞台。
歌姫とナチの将校にレジスタンスやスパイが絡む、スリルとサスペンスの悲恋もの。
映画の話の進行とともにお互いの理解が深まる。 そして理解が愛情へと変わる。
実はモリーナは減刑を条件に当局側のスパイとなり、
ヴァレンティンから情報を引き出すのが当初の目論見だったのが、
恋がばれてお払い箱となり、仮出所させられてしまう。
肉体関係ができてもキスはまだだった別れの朝、
初めてヴァレンティンにキスしてもらったモリーナの幸せそうな顔。
出所して昔の仲間に囲まれても、もう以前の自分とは違っていた。

ウィリアム・ハート、一世一代の演技!
白いドレスの女’や強トラ映画の‘アルタード・ステイツ’では嫌いだった。
でも、これで代打逆転満塁サヨナラホームラン!!
モリーナの映画の話をヴァレンティンが頭の中で映像化しているから、
歌姫も蜘蛛女も昔の恋人のマルタが演じている。 哀しい事にモリーナじゃない。
でも、元々モリーナが語り聞かせた物語だから、モリーナの化身だと信じたい。
今回のトラウマは優雅な曲線を描く細い眉毛のモリーナなのに、
しっかり腕毛、脛毛がボウボウだった事。それがまたいいのかな?