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トラウマティック銀幕 ぼくの伯父さん

ああ、今年の冬は厳しい寒さが続くなあ。
ヨーロッパの夏に恋焦がれる。この人の夏の休暇の映画は大好きだ。
でも、この人の日常は?やっぱりちょっとした騒ぎを引き起こしているのかな?

<ぼくの伯父さん>



パリ郊外の近代的な街に住む妹夫婦の心配は、近所の古い街に住むユロ。
定職もなく日がな一日ブラブラと、いい年で結婚もせず一人暮らしだ。
ホース会社の社長である義弟の紹介で、ある会社に面接を受けても失敗。
仕方なく自分の会社で雇っても、変な形のホースを作ってしまう。
結婚を世話しようと隣家の独身女性を紹介しても、嫌われてしまう。
でも、甥のジェラールはユロが大好き、両親にする話はユロの事ばかり。
ノンシャランなユロが息子に悪影響を与えるのを恐れた義弟は…。

あちこちに細かいギャグが仕掛けてあって、それもみなクスリと笑える。
妹夫婦の家は超モダンだが、全自動調理器は操作を覚えるのが大変ですごい騒音だ。
座りにくい椅子だらけで、ガレージの赤外線センサーに犬が横切ると閉じ込められる。
庭は飛び石を歩かねばならず、池の魚型噴水はうがいのような音を立てて止まる。
片や、ユロの住むアパルトマンはまるでエッシャーの騙し絵のような変な建物。
未来と過去、自動車と馬車、ホーム・パーティーと街のカフェでの酒盛り。
この映画が製作された58年、戦後の復興から近代化の波が押し寄せた。
波に乗る人々、取り残される人々のおかしさをジャック・タチが愛情をもって描く。
今回のトラウマは社長秘書の小走り・チョコ走り。思わず真似したくなる可愛さだ。