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トラウマティック銀幕 ガス人間第一号

東宝の特撮は怪獣だけじゃなかった。○○人間シリーズの一本。
配役がすごい!新人なんかじゃない、黒澤映画などで活躍する一線級。
子供映画とかB級映画とかで差をつけないこの時代の東宝って、とっても素敵。

<ガス人間第1号>

警部補の岡本は銀行強盗犯の車を追うが、夜の暗闇にその車は崖を転落。
車中は無人で犯人を捜してある人家に辿り着くと、そこでは鬼面をつけた女が舞う。
この人里離れた屋敷に住むのは、若き美貌の舞踊家、春日藤千代。
昔は弟子が大勢いたが、今では落ちぶれて爺やと二人で田舎住まいだ。
だが、最近は羽振りが良く、金を使ってかつての弟子を集めて発表会をすることに。
岡本は犯人を取り逃がしたが、この謎の舞踊家に何らかの疑いを抱く。
発表会のポスターの注文で印刷屋に支払われた紙幣が、強盗が盗んだものと判明。
警察は藤千代を拘留し金の出所を尋問するが、贔屓筋にもらったものとしか答えない。
そこへ犯人だと名乗る者が警察に乗り込む。実際の現場で犯行を実証してみせる。
その男はパイロットとなる夢が破れて、図書館員となった水野。
やる気のない仕事で無為に毎日を過ごしていた水野にある日、男が訪ねてくる。
その人物は佐野博士と名乗り、パイロットになりたければ肉体改造すればいいと勧め、
自分の実験に協力するよう水野を雇う。肉体改造とはガス人間となることだった。
騙されたのもあとの祭り。怒りに狂った水野は博士を殺害。
銀行強盗を働いては、愛する藤千代に金を貢ぐ。田畑を売ったと嘘をついて。
水野の正体を知った藤千代は最初は拒むが、やがて水野の愛に応えようとする。
「ボクを利用しろ。ボクのために発表会を開くんだ」
藤千代はただひとりの観客である水野の前で入魂の舞を踊るが…。

水野を演じた土屋嘉男が素晴らしい!黒澤映画の常連俳優にして、
ピーターとの濃厚なラブシーンを演じた「薔薇の葬列」、そして特撮シリーズ。
それに、美しくも哀しい孤高の舞踊家藤千代役の八千草薫も素晴らしい!
てっきり子供向けの特撮映画かと思いきや、大人の愛の物語だった。
ガス人間にされてしまった男の悲哀と、芸道一筋だった女が見つけた真実の愛。
特撮ばかりでなく美術やセットも見ごたえ十分。これが二本立ての一本なんて!
今回トラウマになったのは、ガス化するたびに裸になっちゃうガス人間。
スーツをいくら用意しても足りないよ。出費だな。あ、だから銀行強盗か。