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トラウマティック銀幕 パンズ・ラビリンス

明日は映画の日〜。テアトル銀座に‘ブラック・ブレッド’を観に行く。
スペイン内戦後のダーク・ミステリーらしい。楽しみだな。
で、やはり内戦直後のダーク・ファンタジーの名作を。

パンズ・ラビリンス

スペイン、1944年。内戦終結後、勝利をおさめた新独裁主義政権だが、
野に下ったパルチザンがなお、抵抗の戦いを続けていた。
オフィリアは身重の母と車に乗って、新しい父親のヴィダル大尉の駐留地へ向かう。
気分の悪くなった母が車外で休憩をとる間、森をぶらついていると古い石像を発見。
欠けていた目の部分を入れると、石像の口からナナフシが飛び出る。
休憩を終えて、駐留地に向かった母娘の車を追うように、ナナフシも飛ぶ。
ヴィダル大尉は森にこもって活動するパルチザンの掃討するのが任務だ。
冷酷で残忍、母娘のことよりも生まれてくる息子だけが大事だ。
大尉は英雄として死んだ父のヴィダル将軍に鬱屈したコンプレックスを持っていた。
父は壊れた時計を遺し、この時計が動き出す時が息子の死ぬ時だと遺言していた。
だから、ヴィダル大尉は危険に立ち向かう時、必ずこの時計を握りしめる
母子の新居となるのは森の中の古い屋敷で、身のまわりの世話はメルセデスがする。
つわりのひどい母は床に臥し、オフィリアは好きな童話の世界に寂しさをまぎらせる。
物音で眠れないでいるオフィリアの前に現れたのはナナフシで、妖精に変身する。
その妖精に誘われると、パンの石像のある場所に。そこで本物のパンが登場。
「あなたは魔法の国のお姫様モアナ。でも、それを証明するために、
三つの試練を乗り越えなければならない。満月の夜が来る前に」
妖精に会ったことをオフィリアはメルセデスに話すと、自分は妖精を信じないが、
製粉所のあった場所の奥にラビリンスがあるという言い伝えがあると言う。
そのメルセデスは実はパルチザンのスパイで、食糧や薬を調達している。
正体を偶然知ってしまったオフィリアだが、ヴィダル大尉には言わない。
三つの試練だが、一つは成功、二つ目で禁をおかしてパンは怒って去ってしまう。
母は息子を出産後に死んでしまい、オフィリアが頼れるのはメルセデスだけに。
しかし、パルチザンの捕虜が大尉の壮絶な拷問によりスパイがいると明かしてしまう。
メルセデスはヴィダルに捕まり、ひとりぼっちのオフィリアの前にパンが現れる。
「最後のチャンスを与えよう。弟を連れて迷宮に行くんだ」

醜い魔物や怪物がいる魔法の世界よりも、現実の世界の方がはるかに恐ろしい。
そして、冷酷無比のヴィダル大尉は決して誇張されたものでないのが、
歴史上の惨劇の数々によって思い知らされ、人間の恐ろしさは魔物以上だ。
ファンタジーの結末はふつう勧善懲悪、めでたしめでたしのはずだが、
最後にメルセデスが歌う子守唄が哀しくて切なくて、いつまでも耳から離れない。
今回のトラウマはメルセデスに切りつけられて、口が裂けたヴィダル。
それをまた自分で縫い合わせる!これがホントに、ワイルドだぜ〜!