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トラウマティック銀幕 戦艦ポチョムキン

強トラ画家といえば、イギリスの現代画家フランシス・ベーコン
デフォルメされた怪物人間が大きな口を開けて叫ぶ絵。怖いけど目が釘付け。
この映画のオデッサ階段の場面で、銃で額を撃たれて叫ぶ老女の姿を参照したらしい。

戦艦ポチョムキン

劣悪な労働環境に水兵たちの不満が鬱積。下士官たちの横暴にも我慢ならない。
陸では各地で労働者たちが立ち上がっているというニュースも入ってきている。
「声を上げる時が来た。われわれ水兵も労働者じゃないか!」
水兵たちのスープにウジのわく肉が使われているのが発覚。一発触発の事態になる。
艦長が乗組員全員を甲板に集めて問う。「スープに満足しているものは二歩前に出ろ」
下士官たちは全員進み出るが水兵は皆無。艦長は「前に出ないと、マストに吊るすぞ」
水兵のリーダー格がこっそり言う。「前に進み出るふりをして、砲台へ行け」
だが、遅れをとった一部の水兵たちが見せしめに銃殺されることになってしまう。
銃をかまえる衛兵たちに、水兵のリーダーは叫ぶ。「兄弟たちよ、だれを撃つ気だ?」
ひるむ衛兵。水兵たちは一斉に上官たちに襲いかかり、船から海へと放逐する。
だが、リーダーは上官の銃に撃たれて死んでしまい、仲間は死体をオデッサ港に運ぶ。
港の一角にテントを張って死体を横たえ、‘一杯のスープのために’という紙を置く。
波止場にうわさが広まる。事件があったらしい。水兵が上官に銃殺されたらしい。
港は住民でうまり、事件の詳細を書いたポチョムキン号からの手紙を読みあげられる。
「圧政者に死を!土地をわれらに!未来をわれらに!」住民たちは怒りに拳を握る。
住民たちはポチョムキン号に食物を届ける。陸海同時の蜂起。だが、鎮圧部隊が迫る。

実は‘オデッサの階段’の場面しか覚えておらず、発端と結末をすっかり忘れていた。
今回もやはりあの場面の強烈さが他を圧倒している。特に女性たちの叫び!
ただ赤ちゃんの乗せて階段を下りる乳母車は、いっぱい真似されているから驚きなし。
先週観た「裁かるゝジャンヌ」もそうだったけど、無声映画だっけ?と思ってしまう。
それほど映像が伝える密度が濃くて、無駄をそぎ落として一点集中している。
エイゼンシュタインのモンタージュ手法とか、専門的なことはわからないけど、
早朝のオデッサ港のシーンの美しさが驚異的で、約90年前の映画なのがまた驚異。
今回のトラウマは船に掲げられる赤旗。白黒映画なのにそこだけ赤。着色されている。
ものすごい違和感があって、どことなくシュールだぞ。