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トラウマティック銀幕 赤い靴

もとの話のアンデルセン童話は女の子が死ぬまで踊らされて怖い。
それに異人さんに連れていかれた女の子の歌もやっぱりちょっと怖い。
赤い靴を履くとろくなことはないな。下駄ばこをチェックした方がいいぞ。

<赤い靴>

ボリス・レルモントフが率いるバレエ団は大入り満員。プリマはリーナ・ボロンスカヤ。
芸術家のパトロンとして有名なレイモン夫人はレルモントフを自宅のパーティーに招く。
姪のヴィッキーの踊りを見てもらうために。だが、場の雰囲気には合わないと断られる。
バーでひとり酒をレルモントフに女性が近づく。落胆したヴィッキーだ。
「なぜ、踊りたい?」という問いにヴィッキーは「なぜ、生きたいかの答えと同じです」
ヴィッキーとともにレルモントフのバレエ団に入団したのは、音大生のジュリアンだ。
公演中の「火の心」の音楽は大学教授によるものだが、実は彼の作品を盗作したらしい。
レルモントフは彼に教授を糾弾するのをやめさせ、コンサート・コーチとして雇う。
ふたりに少しずつチャンスを与え、迎えたパリ公演のリハーサルでのハプニング。
プリマのボロンスカヤが結婚宣言。祝福する団員たちの中にレルモントフはいない。
「結婚に走るプリマは愚かだ」ヴィッキーに決して結婚するなと命じ、プリマに指名。
次の公演はアンデルセン童話の「赤い靴」。音楽はジュリアンが書きなおす。
当初、反発し合ったヴィッキーとジュリアンだったが、次第に友情が芽生える。
公演は大成功。プリマとして、作曲家として、ふたりのスターが生まれる。
ヨーロッパ中で公演を行い、イギリスでの凱旋公演を控えたある日のこと。
トップダンサーのリュボフの誕生パーティーにめずらしく顔を出したレルモントフは、
そのなかにふたりだけ姿が見えないのに気づく。ヴィッキーとジュリアンだ。

アントン・ウィルブルックのレルモントフこそ、赤い靴を少女に差し出す悪魔の靴屋
バレエは信仰。美に全てを捧げ、才能あふれる踊り子を見つけてはバレエに殉じさせる。
ヴィッキーとジュリアンの関係はアーティスト同士のエゴのぶつかり合い。
弱肉強食。どちらかかが犠牲になるけど、まだこの時代は男性上位。
ヴィッキーの葛藤が痛々しい。才能を無駄にしたくないし、ジュリアンも愛している。
芸術家カップルのロダンとクロデールとか、光太郎と智恵子とか。悲劇が定めなのか。
マイケル・パウエルエメリック・プレスバーガーの共同監督の黄金コンビに、
ジャック・カーディフの撮影の最強トリオによる魔法のような美しい映像。
プリマとしても第一級品のモイラ・シアラーのバレエに息をするのも忘れる。
今回のトラウマはモイラ演じるヴィッキーのあまりにも大胆なレオタードの半ケツ…。
若いのに垂れていたあのお騒がせ女優の半ケツとは大違い。さすが、鍛えているね!