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トラウマティック銀幕 地獄変

♪ルンナ、月の浜辺のルンナ♪ルンナ、星を見ているルンナ♪〜
わが師匠は清純アイドルは後光が差しているものだと仰せになった。
このひとももちろんそうだったんだろなあ。

地獄変

平安時代藤原氏の隆盛の時代。桜の園で牛車の牛が暴走する。
家人たちは主人の堀川殿の権勢をかさに、別の牛を老人から奪おうとする。
殴り倒され、牛車に轢かれて老人は死亡。その姿を見下ろすひとり。
高麗からの帰化人の絵師、吉秀だ。堀川殿に重用されている。
やもめの吉秀にはひとり娘の良香がいるが、弟子のひとりの弘見と恋仲だ。
ふたりの逢瀬が見つかり、吉秀は弘見を破門にする。高麗人ではないからだ。
良香は地下室に閉じ込められるが、ペットの猿に助け出され、弘見のあとを追う。
でも、辿り着いたのが堀川殿の御殿。その美貌のため愛妾にされてしまう。
吉秀は堀川殿に何度も娘を返すよう頼むが、聞き入れてもらえない。
抗議のために吉秀が持ってきたのは、牛を奪われ牛車に轢き殺された老人の絵。
その日以来、夜な夜な老人の亡霊が堀川殿を悩ませ、吉秀は絵の破棄を命じられる。
ある日、野党の一群が堀川殿の屋敷を襲い、撃退するものの検非違使に死者が出る。
強気の堀川殿に吉秀は言う。「野党が襲うような世にあなたはしたのです」
吉秀にはかねてから野望があった。それは無量随院の大壁画を描くこと。
堀川殿はその壁画を描きたいなら、一枚の屏風絵を完成させるよう命じる。
「極楽の絵を描け」「今の世では描けません。地獄の絵を描きます」
「おまえは見たものだけを描くと言うが、地獄は見たのか」「この世こそ地獄なのです」
吉秀は地獄絵図として、貧窮に苦しむ民の姿を、弟子を蛇責めにして苦しむ姿を、
高麗へ戻ろうと密航する直前に見つかり処刑された自分の身内の姿を描いた。
最後に残ったのは焦熱地獄。天から舞い落ちる燃える牛車。実物を見て描きたい。
願い出る吉秀に堀川殿は不気味に笑う。「その牛車におれを乗せたいのだろう」

するどい審美眼を持つパトロンである権力者と反骨の天才絵師の壮絶なる闘い。
唯美主義に自分の娘も地位も命も犠牲にする絵師と貴族の狂気。すさまじい。
そして、大物食いの仲代達矢と実は同い年だった中村(萬屋錦之助の演技バトル。
もちろんなりきり仲代もすごいけど、余裕で受けて立つ錦さまの懐の広さ。さすがです。
花を散らされてしまう清純乙女の内藤洋子は、出番が少ないながら存在感はあったな。
絢爛豪華なまるで絵巻のような美術は大映お家芸だけれども、東宝もやるじゃん!
音楽は原作者の息子・芥川也寸志。でも、聞いたことのあるような曲。赤穂浪士とか?
今回のトラウマは蛇責めに使われる蛇。壺に入れて床下にもともと置いてあったもの。
いったいなんのため?マムシ酒用とか?天才絵師ってやっぱりパワフル〜。