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トラウマティック銀幕 現金【げんなま】に体を張れ

もしかしたら、これがキューブリック作品で一番好きかもしれない。
特にセリフがカッコ良くて、クレジットを見ると、ジム・トンプソンとある。
あのノワールの名作‘Killer Inside Me’の原作者。超久々に読みなおそうかな?

<現金【げんなま】に体を張れ>

競馬場にて。マービンは賭けごとよりも、もっと大金が手に入るとうそぶく。
バーテンのマーティンは彼に告げる。「やつは五番窓口にいる」
警官のランディは近々大金が入る予定があると言い、レオに借金返済を待たせる。
5年のムショ暮らしを終えて出所したジョニーは恋人フェイと甘い時間を過ごす。
窓口係のジョージに妻シェリーの態度は冷えきっている。「金があればいいんだろ?」
シェリーは浮気相手のバルに、「夫に悪い仲間ができて、大金を盗むそうよ」
年下のヒモ男バルは言う。「分け前なんかより、全部もらおう。実行日をさぐれ」
総額2百万ドルの売り上げを競馬場の金庫室から強奪。ライフル撃ちと暴れ役が必要。
マービン、マーティン、ランディ、ジョージ、ジョニーが相談中、シェリーが立ち聞き。
ジョニーが見つけて釘をさす。「首をつっこまなきゃ、だんなに金が入るんだ」
暴れ役はジョニーのムショ仲間の元プロレスラーのモリース。警官の注意を引きつける。
ライフル撃ちも同じくムショ仲間のニッキー。第七レースの本命馬を駐車場から撃つ。
当日、第七レースのゲートイン終了。メンバーたちは持ち場について役目を果たすが…。

第七レースのゲートインが何度も繰りかえされて、メンバーごとの役割をそれぞれ描く。
各パートがやがて大きなひとつになり、鮮やかな強奪劇が見事に成功するものの…。
せっかくの計画がバカで強欲で色ぼけの女に完膚無きまでめちゃくちゃにされる。
それでもなんとかしようとして、驚きの結末を迎える。今度はバカな犬に台無しにされる。
そこに至るまでの主人公の不安が共感できて、一気に悲惨でカッコいい幕切れとなる。 
強奪ゲーム参加の男たちはみんな大いに曰くありげだけど、特に恐妻家のジョージ。
風采のあがらない小男が美人妻のシェリーを溺愛。金でなんとか繋ぎとめておきたい。
嫉妬心は強いのに小心者で、結局はすべて妻の目論見どおり…と行かなくて面白い。
今回のトラウマはいかつい警官8人を引きずって歩く元プロレスラーのモリース。
ジョニーとの会話がどことなく哲学的でカッコいい。男くさい友情っていいなあ。