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トラウマティック銀幕 奇跡の丘

何がトラウマって、この監督の最期こそ最大のトラウマ。
凄惨な殺害現場だったらしい。犯人の動機はゲイ関係のもつれとされたけど、
イデオロギーが絡んだ謀殺説もあるらしい。映画になりそう…。

<奇跡の丘>

妊娠しているマリアとの結婚を拒もうとしたヨゼフの前に、天使が現れる。
「宿したのは神の子だから、マリアと結婚するように」
3人の高名な予言者たちも神の子の誕生をヘロデ王に伝える。
ヘロデはその3人に、自分も拝みたいから居所を調べるよう命じる。
予言者たちは贈り物をたずさえて、ベツレヘムでマリアとイエスに対面。
だが、天使がまた聖家族の元へ。「危険が迫るからエジプトへ逃げよ」
ヘロデ王が差し向けた兵たちは、幼子を見つけ次第に片っ端から殺戮する。
王の死後にエジプトから戻った聖家族。イエスは川で予言者ヨハネから洗礼を受ける。
その後、イエスは荒野で断食をし、悪魔からの誘惑を退けて、説法行脚の旅に出る。
漁師のペドロたちを弟子に迎え、貧者に食べ物を与え、病人を治す奇跡を起こす。
故郷ではヨハネが捕まり、王は義理の娘サロメに踊りの褒美にヨハネの首を与える。
エスの説法が扇動的なものに変化する。攻撃の対象は長老・司祭長・律法学者。
エスは大衆に熱狂的に迎え入れられたが、敵は黙っていなかった。

聖書のストーリーをドキュメント風に描いているが、どこか変だぞ。
エスはひたすらしゃべる。こんなにしゃべるイエスの映画は初めて。
でも、彼の深遠で難解な言葉は弟子や大衆にはチンプンカンプンなような。
エスもそれを感じていて、焦燥感や苛立ちやジレンマをにじませている。
弟子や大衆の心をなんとか掴もうと、奇跡をやってみせているような。
慕ってはもらえるものの、理解されない孤独な男の姿がだんだん浮かび上がってくる。
磔刑の時に残った弟子は少なく、捨てたはずの家族が最期を見守ったのは悲しい皮肉。
そのあとシナリオ通りに復活を遂げだけど、なんだかとってつけたような。
音楽の使い方が面白い。黒人の古いブルースやゴスペルっぽいもの。
今回のトラウマは一本眉のイエスさま。あまりの苦悩で繋がってしまったのね。