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トラウマティック銀幕 イレイザーヘッド

最近、デヴィッド・リンチは映画よりも音楽に夢中のようだ。
う〜ん、CD買おうかなあ?でも、やっぱり映画を撮ってほしいよなあ。

イレイザーヘッド

ヘンリー・スペンサーが外出から戻ると、向かいの部屋の女から声をかけられる。
「メアリーってひとから電話があったわ。夕食の招待だそうよ」
ヘンリーは気がすすまなかったが、再び出かけることにした。
「遅かったのね」メアリーになじられてヘンリーは怒る。「来なくてもよかったんだ」
メアリーはなだめるように言う。「じきに夕食よ」ヘンリーをなかへ招き入れる。
メアリーの母親に挨拶をする。「お仕事は?」「印刷工です」メアリーは癲癇の発作。
配管工の父親は人工チキンを焼き、母親は痴呆症の祖母に手伝わせてサラダを作る。
切り分けを頼まれたヘンリーがチキンにナイフを入れると液体流出。母親が癲癇発作。
母と娘が退出。会話がなく困るヘンリーと無言のまま不自然な笑顔を浮かべる父親。
発作がおさまり話があると呼ばれて、廊下に出たヘンリーは母親に突然抱きつかれる。
メアリーが廊下に来る。母親は取りつくろうように詰問する。「メアリーと寝たの?」
メアリーは泣く。母親はたたみかける。「メアリーは妊娠したのよ」ヘンリーは鼻血。
ふたりは結婚し、赤ん坊が生まれる。だが、ヘンリーは子育てに非協力的だ。
仕事から戻っても、ベッドに寝転がってセントラルヒーティングを眺めて夢想する。
光輝くステージに立つ少女は朗らかに歌う。♪天国は楽しいことばかり〜♪
だが、赤ん坊の夜泣きにヒステリーを起こして、メアリーは実家に帰ってしまう。
赤ん坊は病気でヘンリーは外出できない。すると、向かいの女が部屋の外に立つ。
「鍵を忘れたの。こんな時間だから泊めてくれる?」女は強引に部屋に入ってくる。

というのがザックリした内容だが、わけのわからないものがいっぱい付随している。
まず、冒頭に暗黒の星のようなものが現れて、岩石男みたいなのがレバーを操作して、
消しゴム頭のヘンリーの口から出たツチノコみたいな、鰻の肝みたいなのを回収。
赤ん坊の顔はET、身体は包帯でグルグル巻き。少女歌手はおたふく風邪状態の頬。
ステージ上にツチノコが大量にふりそそぐと、少女は笑顔で歌いながら踏みつぶす。
ベッドでうなされるメアリーの身体から出る出るツチノコ、赤ん坊もツチノコ
ヘンリーの心の重荷の象徴だろうけど、鰻の肝焼きが食べられなくなるじゃないか〜。
夢や幻や妄想や願望がドロドロと混ぜ合わさり、現実がどこにあるのかわからない。
現実逃避のヘンリーの心象風景だけでは片付かない、奇妙奇天烈な世界が展開する。
リンチの全作品中で一番ぶっ飛んでいるかも。バローズ映画の‘裸のランチ’っぽい。
今回のトラウマはメアリーの祖母。認知症で自分からはまったく動かないはずなのに、
タバコはふかすことはできる。それに、あの家族のなかでは一番マトモっぽいぞ。