トラウマティック銀幕 田園に死す
ずっとトラウマになってたのは花輪和一によるポスター。
わかりにくいけど、右上の縄に縛られた人形のクビがちぎれかけてます。怖い…。
<田園に死す>
恐山に近いある村に住む少年とその母。父は死んだ。
家の古い柱時計が故障して一日中鳴りやまず、母は隣の本家の息子に修理を頼む。
その本家に嫁いできた若妻に少年は興味深々。昼寝する姿を覗き見する。
若妻のトミは少年に他の土地からこの村に売られて来たと言う。
父と話がしたくなった少年は恐山のイタコに会いに行く。
「春になったら母ちゃんを捨てて、家出しようと思ってるんだ」
村はずれにサーカスがやって来て、小屋に一座を構え、そこへも少年は出入りする。
「団員はみんな一人一つずつ時計を持ってるんだね」
ある日、トミは少年に二人で汽車に乗って村を出ようと誘う。「駆け落ちね」
約束の時間、待ち合わせの場所にはトミがおり、早朝二人は線路沿いを歩く…。
そこで一旦フィルムが止まる。少年は映画監督になっており、試写に来た評論家が、
「タイムマシンで過去に行って、三代前の祖母を殺したら自分はどうなるのか?」
またフィルム開始。実は約束の場所にはトミは現れず、恐山でいい人と共にいた。
そのいい人は共産主義者で逮捕されて入牢。別れている間にトミは結婚。
再会した恋人たちは少年を旅に誘い、門出の祝いにと酒を買ってくるよう頼む。
途中で映画監督の自分自身と出会い、恋人たちのもとに戻ると心中で果てている。
自分が出来なかったことをやれと、映画監督は少年に母親を殺すようそそのかすが…。
というような事だろうと思う。自信がない。
母親への強い愛憎とともに、寺山自身のドロドロしたものを全てさらけ出している。
子供の時にテレビで見たイタコを今も覚えている。「わだすはマリリン・モンロー」
怖いのか、笑えるのか、荒涼とした恐山の映像とともに強烈に憑りつかれた。
この映画のイタコは原泉。産婆もやる実は本家の当主で、相変わらずクセありすぎ!
あと映画監督を演じているのは、時代劇ではお馴染み悪役の菅貫太郎。めずらしい!
それにしてもかなりの色彩美・映像美。こんな恐山だったらぜひ行ってみたい。
今回のトラウマは春川ますみの「空気女」。空気で膨らませてもらってエクスタシー。
お人形さんみたい。恰好も雰囲気もフンワカしていて、かわいい!